一番助かったのは、まさかの“食べ物”だった
出産前、私はずっと思っていた。
「出産祝いって、やっぱり可愛いベビー用品が嬉しいよね」と。
小さな靴下、ふわふわのタオル、名前入りグッズ…。
SNSで見かける出産祝いはどれも素敵で、憧れすらあった。
そして出産後。
現実を知る。
寝不足。
抱っこ。
授乳。
おむつ。
寝不足。
授乳。
寝不足。
とにかく毎日が生きるだけで精一杯だった。
そんなある日、宅配便が届いた。
送り主は大学時代の友人。
「出産祝い送ったよー!役に立つはず!」
箱を開けると、ベビー用品ではなかった。
中に入っていたのは――
冷凍おかずセットだった。
・煮込みハンバーグ
・鶏の照り焼き
・野菜たっぷりスープ
・おにぎり
・グラタン
全部、小分けで冷凍されている。
正直その時は思った。
「え、食べ物?」と。
でもその夜、事件が起きた。
赤ちゃんが全く寝ない。
気づけば夜9時。
まだ夕飯を食べていない。
キッチンに立つ気力はゼロ。
コンビニに行く体力もゼロ。
その瞬間、思い出した。
冷凍庫の中の“出産祝い”。
ハンバーグを電子レンジへ。
数分後、湯気と一緒にいい匂い。
一口食べた瞬間、涙が出た。
「温かいご飯だ…」
産後、初めて“ちゃんとした食事”をした気がした。
それからの日々。
疲れた夜。
赤ちゃんが泣き続けた日。
何もできない日。
冷凍庫を開けるたびに救われた。
数ヶ月後、その友人に会ったとき私は言った。
「一番助かった出産祝い、あれだった」
友人は笑った。
「でしょ?先輩ママに教えてもらったの」
その瞬間、思った。
出産祝いって、可愛いだけじゃなくていい。
“今の生活を助けてくれるもの”が一番嬉しいんだ。
今でも誰かに出産祝いを贈るとき、私は必ず食べ物を候補に入れている。
あの日のハンバーグの味は、きっと一生忘れない。